イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
ほんと、こんなセリフにはむいてないわ。


「ふぅん、付き合ってあげる、とは、ずいぶん強気だな」


(あんたが気の強い女の子が好きだから、わざと言ってんのよ!)


ちょっとイライラしながらも、入江圭輔の表情を見て、あたしはちょっと希望が持てた。

この男、いい気になってる。


(よぉし、ダメ押しだ)


あたしは入江圭輔に思い切って近づいて、腕に自分の腕を絡めた。

甘えるように。

上目づかいに、整った顔を見上げる。

慣れないことしちゃって、心臓が無駄に早鐘打ってるよ。


「待ってるからね。

……いい?」


(……)


もうだめ。

あたしには、これくらいが限界。

今の自分、忘れたい。
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