六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「良かったぁ、清良ぁ~!」
「はっ?何?」
戸惑う清良に抱きついていると、後ろから瑛さんが代わりに答えた。
「……お前が行方不明になる夢を見たんだそうだ」
「あたしが?」
「前に伊奈に襲撃された時の事があるからな。
全く当たらないとは言えない。
気をつけろ」
「あ、は~い」
そうだ、この前の伊奈との戦いは、
夢で見た通りになっちゃったんだった。
なのに清良は軽く受け答えをする。
「うぅ……もっと具体的に見れれば、
防ぎようがあるのに……」
「……それはそうだが。
代々夢見姫でも幼い頃から夢を見はじめて、
大人になってやっと予言ができるようになったみたいだからな。
お前のようなやつができなくて当然だろう」
「お前のようなやつって……失礼な!」
瑛さんをにらむと、清良がまぁまぁと口を挟む。
「とにかく着替えようか、まりあ」