六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「全くだ……。

ここの使用人にも男がいるんだから、

もう少し面積の広い布を着てろ」


へ?と自分の格好を改めて見ると。


「いぃやあぁ!!」


下着の上に、大きめのTシャツを着ただけになっていた。


慌てて部屋に入り、ふすまを閉める。


ま、またやってしまった……!


見られた、また見られた……。


泣きそうになりながら着替えていると、清良が部屋に入ってふすまを閉めた。


「アンタ、昨夜“暑い~”って言って、

寝ながら下の服脱いでたよ」


「うぅっ、夏なんか嫌いだ!」


「そんなに慌ててたの?」


「そうだよ!誰かさんがいないから!」


キッと清良をにらむと、ぷぷぷと笑われた。


「笑うな清良ぁっ!」


「だって……ハハ、

面積の広い布だって……」


「はぁ?」


「瑛、どこ見て良いかわからなさそうで、目が泳いでた」


「うそ!」


そうだっけ?

いつもと一緒じゃなかった?


< 287 / 691 >

この作品をシェア

pagetop