六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


それでもあたしは念じてみる。


(お願い。

あなたが長い間守ってきたものを、とったりしないから。

ただ、少しだけ中に入れてください……)


パン。


何かが弾けるような音がして、南京錠を見ると。


「……うわ、開いた……」


「にゃん!」


「はいはい……

ありがとう、すぐ閉めるからね」


外した南京錠にそう言って、扉を開けると、

アキちゃんがタタッと中に入っていってしまった。


「アキちゃん!勝手に行っちゃダメだよ!すぐ閉めるんだから!」


アキちゃんを追いかけ、中に入ると。


蔵全体で、古い木とホコリのニオイがした。


その中は倉庫みたいで、

何が入ってるか分からない木の箱が、棚に行儀良くずらりと並んでいる。


その全てが、“勝手に触っちゃいけない”オーラがムンムンしていた。


……これはマズイ。そんな気がする。


「アキちゃん、早く出よう!」


< 294 / 691 >

この作品をシェア

pagetop