六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


あたし達は、息を呑む。


伊奈の横から、紫の炎に包まれた苦無が宙を切る!


瑛さんが、すきを突いて攻撃したんだ。


「……ちっ!」


ヒュオ、としなる鞭で、その大半は打ち落とされる。


しかし、何本かはその身体を掠めることができた。


今まで全く乱れていなかった伊奈のスーツに、赤いシミができる。


足を傷つけられたのか、動きが止まった。


「もう、諦めえ。

夢見姫が手に入ったかて、アンタが失ったものが、戻るわけやない」


オーリィが、静かに言った。


「この世に復讐したい気持ちはわかる。

アンタの事を調べさせてもらったけど、まぁ……ひどかったわ。

けどな、まりあは関係ないやんか。

この子をアンタの復讐に巻き込む権利は、ないはずやで」


その言葉に、瑛さんが顔を歪めた。


そして、もう一人……。


伊奈が、ゆっくりと顔を上げた。


「そう……戻りません、何もかも」


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