六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
低い声は、傷から滴る血のように、
ぽつりぽつりと落ちた。
「あの日、父が失敗したのは……
ある政府要人の暗殺でした。
一度失敗しただけで、当時の首領……
岡崎瑛、貴方の祖父に、私達家族は見捨てられました。
それまで一族のために数々の業績を残してきた父、母、そして私に、
一族失格の烙印を押したのです」
「…………」
脳裏に浮かんだのは、月夜の晩にぼんやり空を眺めていた瑛さんの横顔。
きっとあの時の村からの連絡で、その事を知ったんだ……。
「そして私達は人間とは思えないほどの迫害を受けた。
詳細は、両親の名誉のために黙っておきましょう。
私達は命からがら村から逃げました。
しかし、戸籍もない、孤立した一族にいた私達が生きていくのに、
この世界は過酷すぎた」
ギリ、と鞭を持つ手が音を立てる。