六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「無駄ですよ。

ここは貴女の力を無効化する結界が、

張ってありますから」


たった今自分で気づいた事を、言葉にした人がいた。


ハッとして、顔を上げると。


「……あなたは……!」


つい先日、会ったばかりの人。


琴さんが、何人もの女性を従えて立っていた。


「岡崎一族の【村】へようこそ」


透き通るその声が、鉄格子の向こうから響いた。


「村……!?」


「ええ。

歓迎します、夢見姫様」


実際の待遇とは逆のセリフに、体が動かなくなってしまう。


岡崎一族の村……。


じゃあ、本当に……。


あたしは、瑛さんにここに連れて来られたんだ。


夢じゃ……なかった。



「瑛さんはどこ?

瑛さんに会わせて!」


「どうして?」


「どうしてって……」


「自分を裏切った人に、何を聞こうと言うの?」


あたしを見る琴さんの目は、氷のように冷たかった。


< 498 / 691 >

この作品をシェア

pagetop