六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
……夏だし暑いから、臭ったのかな。
ちょっとショックを受けて、
思わず自分の服の胸元を摘まんで、嗅いでしまった。
「明日の儀式の為に、
身を清めていただきます」
呆れたように、琴さんが言う。
「儀式……って、どういう儀式なの?」
知らない方が良いと、瑛さんは言った。
そんなに怖い、儀式なんだろうか。
恐る恐る聞くと、琴さんは冷静に口を開いた。
「想像つきませんか?」
「つかないから、聞いてるんでしょ?」
話しながら、ダメもとでアキちゃんに力を送る。
何とかスキを見つけて、逃げられないだろうか。
そんな思考は、琴さんの声にぶち壊された。
「満月の夜に、族長が貴女を征服して、
本来消滅するその力を、自分のものにされるのよ」
「……征服?」
「男女の交わりよ。
それくらいわかるでしょう?」
ぷつん。
頭の線が、一本切れた。