六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……呼んだか」
うつむいていたあたしは、その声に顔を上げた。
「瑛さん……!」
「…………」
握りしめた鉄格子の向こうには、瑛さんがいた。
驚きで、涙が止まる。
「血が出てる」
血?
言われてはじめて、
いっぱいまで伸ばされた足枷のせいで、足首が傷ついているのがわかった。
「瑛さん……」
「脱走に失敗したんだって?
バカな姫だ」
「瑛さん……っ!!」
鉄格子の間から手を出すけど、瑛さんは触れてもくれない。
目線だけは、あたしをいたわっているように見えるのに。
そして、やはり罰を受けたのか、口の端が切れていた。
「殴られたの……?」
「あぁ、誰かが派手に暴れてくれたおかげでな」
「アキちゃんが……。
瑛さん、アキちゃんが……」
「……消えただけだ。
死んだわけじゃない」