六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
全然、納得がいかない。
だけど、その声は意外に落ち着いていて。
あたしの涙腺を解凍した。
最期が近いあたしを、哀れだと思っているのだろうか。
瑛さんは、ここに来る以前の空気を身に纏っていた。
「瑛さん、ここから出して……」
「……できない」
敬語がどこかへ飛んでしまった。
でも、それでいい。
どうせ、ちゃんと使えてなかったんだから。
「あたしを……、母を恨んでる?」
「…………」
あんなに幼い時に突きつけられた絶望は、
どんな色をしていたんだろう。
それを思うと、口が重くなる。
だけど。
本当の事を伝えなくちゃ。
「瑛さん、あのね。
瑛さんのご両親を陥れたのは、
お母さんじゃなかったの」
「……なに……?」
瑛さんは、眉間に深いシワを作った。
あぁ……。
やっと、こっちを見てくれた。