六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「さあ、どうする?夢見姫。
私も鬼ではない。
薬でも香でも、眠れるものを用意しようか?
その方が苦痛が紛れるだろう」
手錠をはずし、その代わりに、
自分の大きな手であたしを拘束した男が、尋ねた。
「いらない!
いいから、離してよ!!」
叫んでも、滋は表情を変えない。
「そうか。
では、苦痛が少ないように善処しよう」
そう言うと、あたしを敷いてあった布団に押し倒した。
「ちょっ、待って!
一つ答えて!」
あたしは必死で身をよじる。
「なんだ」
「瑛さんのお父さんを陥れたのは、夢見姫じゃない!
あたしのお母さんは、そんな予言をしなかった!
本当は、一体誰が瑛さんのご両親を陥れたの!?」
そう聞くと、
あたしにのしかかったままの滋が、また薄く笑った。