六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「瑛様……!!」
滋の横に、琴さんが駆け寄ってきた。
その目には、涙が浮かんでいる。
「瑛様、もうよして。
冗談ではすまされませんよ」
「……すまない、琴。
冗談などではない」
「瑛様」
「俺は一族を裏切ってでも、守りたいものができた。
それは……お前じゃない」
滋に対する声より、それは少し苦しげで、優しかった。
「親代わりとして面倒をみてくれた、
お前の母には感謝している。
俺なんかを許婚として、支えてくれたお前にも」
琴さんのお母さん。
もしかして、夢の中で、幼い瑛さんに話しかけていた、
あの女の人のことだろうか。
いや、そうに違いない。
あのひとは琴さんにそっくりだもの。
「ならば……」
「すまない。
俺のわがままだ」
瑛さんはまた謝る。
しかしそれは、謝罪ではなく拒絶だった。