六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「食らえ!」
瑛さんは紫色の炎を纏わせた苦無を投げつける。
それは寝所のところどころに当たり、火をつけた。
「重い。
コレも燃やしてやれ」
そう言うと、瑛さんはあたしの緩んだ帯を取り去った。
しゅるり、と音がして乱れていた着物が足下に落ちる。
「やっ、ひゃああぁん!」
「おかしな声を出すな!」
そんな事言ったって、
いきなり襦袢一枚にされたあたしの身にもなってよ!
もちろん、そんな事を言っている暇はなかった。
瑛さんは着物を拾い、
苦無と一緒に火がついた寝所に放り投げた。
プスプス、と黒い煙が立ちはじめる。
儀式のために炊かれた、薬か香かわからないものの匂いの中に、
布が燃える匂いが混じる。
これにはさすがの忍達もあたふたしはじめた。
「逃げるぞ!」
余分な戦いは無用とばかりに、
瑛さんはあたしの手を引いて走り出した。
しかし――。