六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
琴さんが叫び、忍達はまた読経に戻る。
そうか、この分厚い結界は、読経に支えられているんだ。
瑛さんが何人か眠らせたせいか、
砦に入ってきた時よりも、いくらか薄らいでいる気がした。
「ぼんやりするな!」
あっ、と思う間もなく、
瑛さんがあたしを抱えて攻撃を避ける。
今度は蜘蛛の巣が無数の針となり、
あたし達の体を突き刺そうと、飛んできていた。
「力が使えなければ、本当に役立たずだな!」
「えっ、ひどいっ!
自分だって、忍をやめたらただの性悪男じゃない!」
「はっ、その性悪男に惚れたのは誰だ?」
「わわわっ、バカバカ!バカ忍者!」
ヒュンヒュンと音を立ててくる針を避けながら、瑛さんはニヤッと笑った。
それは、本当に久しぶりに見た、
作ったのではない、自然な笑顔だった。