六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


琴さんが叫び、忍達はまた読経に戻る。


そうか、この分厚い結界は、読経に支えられているんだ。


瑛さんが何人か眠らせたせいか、

砦に入ってきた時よりも、いくらか薄らいでいる気がした。


「ぼんやりするな!」


あっ、と思う間もなく、

瑛さんがあたしを抱えて攻撃を避ける。


今度は蜘蛛の巣が無数の針となり、

あたし達の体を突き刺そうと、飛んできていた。


「力が使えなければ、本当に役立たずだな!」


「えっ、ひどいっ!

自分だって、忍をやめたらただの性悪男じゃない!」


「はっ、その性悪男に惚れたのは誰だ?」


「わわわっ、バカバカ!バカ忍者!」


ヒュンヒュンと音を立ててくる針を避けながら、瑛さんはニヤッと笑った。


それは、本当に久しぶりに見た、

作ったのではない、自然な笑顔だった。


< 560 / 691 >

この作品をシェア

pagetop