六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……族長、どうします?」
「ちょうど良かったではないか。
まさか夢見姫直々に戻ってきていただけるとは、思わなかった」
滋は、まっすぐにこちらを見つめた。
「夢見姫、取引をしよう」
「取引?何を?」
「この六花の翼を、私にくれ。
その代わりに、瑛の身体は返してやろう」
「……!」
話す滋の後ろで。
痛みで目を閉じていた瑛さんが、
ゆっくりと顔を上げるのが見えた。
やはり、気を失ってはいなかった。
翼の力が、そうさせないんだ。
あたしと瑛さんの力でできた六花の翼は、
今や瑛さんの身体を苗床に、
切り離されてたまるかと叫んでいるようだった。
「……まりあ……
バカな、何故……」
小さくうめいた瑛さんの太ももに刺さった一本の苦無を。
滋は、突然引き抜いた。
「ぎ……っ、ぅあ、あ……っ」
「瑛さん!」
瑛さんの足から、ボタボタと血が流れ落ちた。