六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
滋は表情を変えず、血のついた苦無を見つめた。
「どうやっても、気を失わない。
ならば、仕方がないが翼ごと殺すしかない。
そして、再びそなたの力を狙う事になるぞ、夢見姫」
はぁはぁと、荒い息をした瑛さんが、口を開く。
「逃げろっ、早く……
ぐあぁっ、あぁあ!!」
言葉の途中で、滋は苦無を瑛さんの足に戻す。
瑛さんの悲鳴は、耳を押さえたくなるほど鼓膜を震わせた。
「やめて!」
「それはそなたの答え次第だ」
滋は別の苦無に手をかける。
「やめてえぇぇぇっ!!」
思わず叫ぶと、滋はニヤリと笑った。
「では、六花の翼を私に」
「それは……!」
六花の翼を持つものが、この世の混乱をおさめる。
お母さんの予言が、正しければ。
絶対、渡せない。
滋は既に混乱しているこの世を、
六花の翼の力で、自分の良いようにおさめてしまう。