六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
返事を躊躇していると、滋は笑った顔のまま、
瑛さんの髪をつかみ、顔を持ち上げた。
「瑛、恨むなら夢見姫を恨め」
「や……っ……」
「残念だが、この美しい顔を切り刻んでやるか。
お前の母に似た、この顔を……」
滋が苦無の先をピタリと瑛さんの頬にあてた。
少し動けば、紫色の瞳が貫かれてしまう。
「やめてぇぇぇっ、もう傷つけないで!!」
夢の通りだ。
どうしよう。
どうすれば。
迷っていたら、太一が叫んだ。
「姉ちゃんは、お前に六花の翼を渡す気はない!!」
「なんだと……?」
「ついでに、瑛さんの命を諦める気もない!
力が欲しければ、俺と姉ちゃんを倒してみろ!」
「……バカ者が……」
滋が瑛さんから離れ、呪術師達を連れて、こちらに向かってくる。
見上げた太一は、しっかり前を見ていた。