シャクジの森で〜青龍の涙〜
蕩けるような甘い刺激に、声にならない息が漏れる。

ぴくんと跳ねあがった柔らかな身体をぐっと支え、アランは唇を塞ぎながらゆっくりとベッドの方へ移動していく。


口中と身体の感覚全てを支配され、くったりと力も抜けていく中、エミリーはアランの服を掴んでいるのが精一杯だった。


頭がぼーっとしてくらくらする。

与えられる刺激が、何故だかいつもの数倍に感じられる。


この世にはアランだけしか、いない。


エミリーの身体はそっとベッドの上に横たえられ、逞しい体が上に覆い被さった。



「ん・・・」



胸元あたりに下りた唇が、チリ・・と熱い刺激を送ってくる。



「・・・君は、無防備すぎる」



アランが再び柔らかな肌に顔を埋めようとした、そのとき

異質な音が、二人の耳に届いた。



―――あの音は、なに?



身体を襲う刺激の波に溺れそうになっていたエミリーの意識が、徐々に浮上してくる。

アランは、いつの間にかエミリーの上から退いていて、今はベッドの端に座っていた。

瞳を閉じ、大きな掌は額を押さえている。



―――コンコン



『王子妃様、おられますか?』



今度は、はっきりと音を捉えた。

誰かが部屋を訪ねて来たのだ。



「少々待っておれ」



アランは扉の向こうに声を掛け、すぐさま窓を開けて外の冷たい空気を入れた。



「エミリー、すまぬ・・・しっかりせよ」

「は・・い?アラン様・・・」



ベッドから抱き起こされ、着崩れたドレスが丁寧に直される。

ツンと冷たい風が部屋に吹き込み、熱くなった肌を冷ましていく。


と。


エミリーの頭も徐々にはっきりとしてきた。

体の感覚も戻りつつある。

さっきのは、なんだったのだろうか・・・。



薔薇色に染まった頬を、アランの掌がいたわるようにそっと触れた。



「髪が乱れてしまったな・・・すまぬ、乱暴をした・・・。もう、具合は良いか?窓は暫く開けておく。私は着替えてくるゆえ、その後、共に散策に参ろう」



エミリーは椅子に座らされ、アランは足早に部屋の外に出て行った。

それと入れ替わるようにして、入ってきたのは―――

< 124 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop