死神少年
黒の青年
夏休みが始まって一週間、白紙のノートに少々焦りを感じながらも結局昨日も手をつけず終いだった。


今日こそやろうと決心しても、カレンダーの残り日数の余裕に誘惑わされてしまう。


「音穏くんはちゃんと宿題やってるの?」

「まあ、それなりに」


花瓶に家の庭で摘んできた紫陽花を挿しながら、俺は曖昧な返事をする。



親戚の和美姉さんは、俺より四つ上だ。


姉さんは生れつき体が弱く、昔から入退院を繰り返している。


俺は時間の空いた時には出来る限り病院に顔を出すようにしている。 和美姉さんは淋しがり屋だからと叔母さんに頼まれたのだ。

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