遊びじゃない
美織とのいつもの会話でどうにか日常を取り戻しつつあるけど、やっぱりこの空虚感は埋まらない。
そんなに馴れ合っていたわけでもないのに、何かあったときにすぐに知らせる相手がいないことには少しの寂しさが漂う。
何事も無かったように仕事して、1人で行ける居酒屋で食事して、お風呂に入って寝るだけの毎日。
付き合っていたときも平日に刻むそのリズムは変わっていないはずなのに。
やっぱり何かが足りない、空っぽな日々。
おはようも、おやすみも何ら受信しない携帯は、持っていることすら馬鹿らしくて、今日はわざと持っていくのを忘れたけれど、帰って確認する液晶には母親からの不在着信のみ。
ため息と共に、もう恋なんてできないかもしれないな、なんて思えてきて冷蔵庫からビールを取り出し一気に喉奥へ流し込んだ。