遊びじゃない
しまった、と思ったのは、電話の向こうが不自然なくらい静かで、さっきまで聞こえていたご機嫌な声が消えてしまったから。
酔っ払ってるのはあっちで、私じゃないのに。
彼女でもない奴に、さみしいなんて言われても返答に困るのは明らかで。
慌てて取り消そうとするより一歩早く、さっきまでとは違うゆうの1オクターブ低い声。
「いえ?」
「え?」
「家にいる?」
「う、ん…。」
「待っててっ、行くから。」
「えっ、ちょっ………切れてるし。」
いま、待っててって、行くからって…言ったよね?それって、ここに、今、来るってことで…。
「や、ちょっと待ってよ…。私、まだバスローブだしっ、顔こんなだし、コンタクトも外しちゃったし…それより、部屋こんなんだし。」
部屋の真ん中で、携帯を持ったまま足元を見ると、さっき脱ぎ散らかした服や昨日読んだ雑誌が目に入る。