遊びじゃない
「なに。」
「何回も掛けたんだよ~?何やってたの?寝てた?」
「何の用?」
「何の用って…つれないなぁ。僕ね、今日は接待だったんだけど、先方の都合がわるくなっちゃって~、で、今まで先輩に飲まされて~。」
きっと千鳥足で歩いている所為で、途切れ途切れに大きくなったり小さくなったりする声。
「それでね、その先輩が鶏皮好きでね~。その鶏皮見てたら、なんかまおちゃんの顔が浮かんできてね~。」
ついさっきまで狭いバスタブで独り涙を流していた私には、いつもと変わらない間延びして滑舌の悪い話し方も、私の顔が浮かぶと言った酔っ払いの言葉も、信じられないくらい心の中を暖かくさせてくれるようで。
「……みしい。」
「え?」
「さみしいよ。」
迂闊にも本音が出た。
泣いていたせいか、口の中がカラカラに乾いていたせいか、思ったよりも小さく、掠れた声。