遊びじゃない
え、なんで…。
ラグに埋もれて寝ているはずが、私をのぞき込むゆうの後ろに見えるのは見慣れた天井で。しかも、救助でもされるかのように私の体はすっぽりとゆうの腕の中。
「これって、どういった状況?」
私を抱きかかえたままさわさわと動く背中の手を捕まえて、いつもと違う惚けた顔を見つめる。
「ん?」
言いながら目を閉じる男はトレードマークの黒縁眼鏡は外していて、相変わらず前髪はうっとおしいけど少しは歳相応に見える…けど。
ちゅっ、と生々しい音をさせて首筋に生暖かい感触を残す女に慣れたような男は知らない。
「…に、やってんのよっ!」
耳元の匂いを吸い込むように顔を埋めて動かないゆうを蹴りとともに突き飛ばす。
横っ腹に決まった右足キックで、「ぐっ」とも「うぇ」ともつかない呻き声をあげてゆうが体から離れたことで、不覚にも寒さなのか寂しさなのかわからない感情が湧いたけれど。