遊びじゃない
「…ん…?」
冷たい手に気がついたようなその人は、気怠そうにゆっくりと瞼を開けて、焦点の合わない潤んだ視線をよこす。
う……色っぽい。
明らかに病人なのに、熱っぽく揺れるその瞳でじっと見られると、居心地が悪くて鼓動が早さを増していく。
声をかけたのは私なんだから、何かしゃべらなきゃと思えば余計に唇がパサついて張り付いたように開かない。
営業部のホープ、麻生さん。
顔はイケメンなのに誰彼構わず愛想がいいわけじゃないから少し近寄りがたいイメージはあるけれど、でも実はそこそこ色んなところに手を出しているんじゃないかって噂もチラホラ聞かれる。