遊びじゃない
「お局にはかわりないんじゃないかしら?だって今は独身なわけだし。」

思ってたことがあっさり顔に出ていたようで、にこりと笑いながら恐ろしいことを言う瀬川さん。

「結局、私は‘結婚’をしてみたかっただけだったのかもね。」

自嘲気味に笑って、立ち上がりながら鍵をかちゃりとデスクに置く。

「30歳になったらなんか落ち着くもんなんだけどね。今時30越えてから結婚したって珍しくもなんともないでしょ?気休めかもしれないけど……私は誰かにそう言って欲しかったから。」

言いながらヒラヒラと手を振って出て行く瀬川さんの後姿を見送りながら、自分でも少し気がついたような気がする。

29歳ということに焦ったり、不安になったりするのが自分だけじゃなくって。

30歳になってからでも遅くないってこと。

勝手に自分で20代がタイムリミットみたいに決めて、自分の首を絞めて、こんなにジタバタしちゃって……挙句、ゆうにまで八つ当たりしちゃって。



……ほんと、恐ろしいわ、29歳。
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