遊びじゃない

いつもの煙の充満した赤ちょうちんのいつもの指定席で飲む生ビール。
目の前には大好きな鶏皮と冴えない草食おじさん…だけど。

なんだか安心して、居心地が良くて、泣きそうなくらい嬉しいなんてほんっと嫌になる。

「…なんで今日まで何も言ってこなかったのよ。あんたね、つい最近まであんたの先輩に遊ばれてた人間にむかってする行為じゃないわよ!?もっと早く謝罪なり懺悔なり腹切りなりしにきてもいいんじゃない?こんなの放置プレイもいいとこ。」

拗ねてごねてる彼女みたいなセリフが自分の口から出てくることも信じられないのに。

「だって、まおちゃんのことが気になっちゃってしょうがなくって、仕事でいっぱいミスして取り戻すのに時間ばっかり過ぎちゃったから、やっと今日解放されたところで……」

ふうっと溜息を吐きながら当たり前のことだと言わんばかりに呟かれる言葉に、なんだか気恥ずかしくて視線を逸らしてしまうことだってありえない。
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