遊びじゃない
「あんた一体どこで電話してるわけ?まさか社内とか言わないでよ。」
「あぁ、よかった。まおちゃんが意識でも失ったかと…」
「やめてよ、縁起でもない。だから、ほんと大丈夫なの。一人で電車で帰って、お風呂入って寝たいだけなの。精力つく食べ物も鶏皮もいらない。ついでに言うと、連日あんたの相手で寂しくもなってない。」
「………ほんとに?」
「ほんと。今さらあんたに意地とかはってもしょうがないでしょ。」
というか、意地を張っても通用しないでしょうが。
とはいっても、これほど自分を気にしてくれる存在がいることにやっぱり嬉しくもあったりして。
「ほんとだってば。家に帰って、ほんとにしんどかったらちゃんと言うから。」
言う必要ないでしょって言いたいところをぐっと堪えて譲歩する。
「……わかった。でも、なんかあったら絶対すぐに電話してくるんだよ?一人で泣いたり苦しかったりするのはダメだよ?」
泣くのも苦しいのも基本一人でしょうがとちょっとおかしくなって笑いをこぼすと、少しはホッとしたようにいつもの調子に戻った男は、電話の向こう側で誰かに呼ばれたようで返事をしながらも、気をつけてねと小声で言って電話を切る。
………やっぱり、社内だったのか…。