遊びじゃない
「はぁ……。ど、しよ……」
フロアの端の薄暗くなった休憩室で、温くなったコーヒー缶を両手で弄びながら、ため息混じりに呟く。
誰もいない休憩室をなんとなく見回して、そういえばここで麻生さんと深く知り合うきっかけになったんだと隣のベンチを軽く睨む。
どうせ私なんてこれっぽっちも思い出さないで、転勤先でよろしくやってるんでしょうよ。
別に思い出してほしいわけじゃないけど…。
でもあっちにだって非はあるんだから、私だけがこんなに悩んでるのも不公平な気がするし。
なんて思ってると、不意に後ろでドアの開く音がした。
「こんなところにいた……」
軽く息を弾ませながら、安堵したように前髪をくしゃっとかき上げる仕草でいつもと違う表情があらわれて、なんて言葉を返したらいいのかわからない。