遊びじゃない
止まったままのエレベーターに乗り込んでからも行き先を告げられるわけでもなく、玄関ロビーを抜けて少し肌寒い外気に触れたと思ったら、すぐ目の前の大通りを通りかかったタクシーに連れ込まれる。
「ちょっと、どこ行くのよ」
もしかしたらいつもの居酒屋かも、と一瞬うかんだ考えはタクシーに乗ったことで呆気なく否定されてしまっている。
タクシーの中では一応常識を取り戻してくれた男は、ようやく私の身体を解放してヘラヘラと笑う。
「僕のうち」
「は?」
「だってまおちゃん家より近いでしょ?」
近いからなんだっていうのかさっぱりわからない。