遊びじゃない
ストーカーばりの気持ち悪い台詞も、力加減をされた抱擁とふわふわと幸せそうな声でなんだかソフトに胸に響くから不思議。
これが草食系とやらのなせる業なのかも。
「ありがと」
社内で何やってんだかって思う自分もいるけれど、包まれる安心感にそっと身を委ねる。
「じゃっ、行こうか」
「へ?」
どこへ?なんて言葉もかき消して、さっさと私の鞄も飲みかけのコーヒーも私の身体でさえ抱え込んで立ち上がる。
「え、ちょっと…」
わけがわからず見上げると、ごきゅっと音を鳴らして上下する喉仏が視界を占めて。
あ、間接キスだ。
なんて、中学生みたいなこと考えている間に空になった缶はダストボックスに消え、人気のなくなった廊下に連れ出される。