遊びじゃない
それでも、今日の下着は上下セットのヤツだったかなとか、ムダ毛の処理っていつやったんだっけとか考えている間、隣のヤツは落ち着いた調子で運転手さんに「あ、そこ曲がったほうが早いです」とかなんとか話している。
眼鏡がなくて見えにくいのか、時々目を細める表情も、いつもは見ることがなくて。
これから起こることに期待するように胸のドキドキは増していく。
「…まおちゃん?」
不意に耳元で名前を呼ばれてビクッと体を強張らせる。
視線を上げると、運転手さんからお釣りを受け取りながらなんで降りないのかと小首をかしげる眼鏡なしのゆうがいて。
「あ、着いたの?」
必死で平静を取り繕ってタクシーから降り立つ。