遊びじゃない

目の前にそびえるのは、私の築ウン十年のアパートとは比べ物にならないくらいのちゃんとしたマンション。

エントランスがきちんと存在して、平べったいカードみたいな鍵を差し込んでそこを抜けるドアが開かれる。

当たり前だけど、7階まで表示されたエレベーターがあって、うちのカンカン響く階段下とは違って多分毎日清掃されている無駄な響きが聞こえない廊下。

「こんないいトコ住んでたの?」

部屋のドアをさっきの平べったい鍵で開けて、私が入れるようにドアを押さえてくれる。

「広いし、静かなのはいいトコだね」

いやいや、そういう意味じゃないんだけども。

「どうぞ」

頭を軽く傾けて、中にはいるよう私を促す。

それはとても余裕があるようで、なんだか私ばかりドキドキして損した気分になる。
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