遊びじゃない
名前を呼ばれて診察室に入ると、想像していたのとはちょっと…いや、かなり違って、同じ年くらいにしか見えない女性が白衣を着てパソコン画面を眺めている。
「お願いします」
椅子に座る前に視界の隅にチラリとカーテンの隙間から診察台のようなものが見えて、ふぅっと小さく息を吐く。
相手は女性だし、大丈夫。何が大丈夫なのかはわからないけど、いつ診察台に上がれと言われるか身構えていると、私に視線を移した女医さんが柔らかい声を出す。
「いつからですか?」
「はい?」
力が入って、思ったより大きな声が出てしまったことに気まずく思っていると、女医さんはにこっと表情を変える。
横顔は冷たく感じたのに、笑顔をみると私よりも若いんじゃないかと思ってしまう。
「いつから乳汁はでてます?」
「あ…えっと、三日くらい……いや、1週間くらい前からかもしれないです」
「そうですか」
カチャカチャとパソコンに打ち込む音だけが響く。最終月経とか月経周期とかは最初の問診表に書いてるから、特に質問もされない。