遊びじゃない

そう、そう。そうでした。
これが最後だったんでしたよね。新しいのを買いに行かなくちゃと思ってたんだけどね、色々あってね…。

あぁ、もう、今日は眼鏡でいいや。っていうか、眼鏡しかないし。

じゃ、化粧もそんなばっちりじゃなくていいし、ちゃちゃっと済ませられる。

普段は眼鏡かけて出かけないせいかもしれないけど、眼鏡にばっちり化粧した自分ってなんか不似合いというか可笑しいっていうか。

瀬川女史なんかはビシッと化粧して、眼鏡かけてんのがよくお似合いなんだけど。

……こんなどうでもいいこと考えてる暇はなかったんだった。

眼鏡に薄化粧だし、出来るだけシンプルなワンピースを上からかぶって、昨日会社に行ったままの鞄を掴んでパンプスを引っ掛ける。

電車に駆け込んだところで時計を見ると、美織と電話を切ってから15分しか経ってない。

これって、奇跡じゃない?だって駅までの道のりを考えたら10分で用意したってことだもん。

いや、用意っていうほどのことはしてないけども。化粧はベースをうっすらだし、眼鏡だし、髪そのままだし、ワンピだし。
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