遊びじゃない
もう、ホントに憎めない奴。
私1人イライラしているみたいで却ってバカバカしくなって、小さくため息をつきながら苦笑する。
「もう、いいわよ。…終わったから。」
開けていたファイルを引き出しに戻して、その脇に置いてあった鞄を取り上げる。
いくら人が少なくなったとはいえ、2人で連れ立って話していても、麻生さんと一緒にいたときのように要らぬ注目を浴びることもなければ、噂を立てられることもない。
「そっちはまだ仕事?」
どうやら退社ついでに寄ったわけではなさそうで、鞄も持ってないし、またエレベーターで営業部がある上のボタンを押している。
「うん。まだもうちょっと仕事残ってるから。」
ヘラヘラと笑う男はそれが少しも苦にならないようで、じゃあまた、と手を振って扉の中に消えていった。