遊びじゃない
…いや、まだお昼休みに5分足りないし。
チラッと時計を見上げる私の仕草にチッと舌打ちしてしまう妊婦は、「トイレが近くて…」なんて呟きながらお財布を持ってトイレに向かう。
これはもうそのまま外に向かう気満々ですね、姉さん。
美織のように言い訳を呟けない私は、ゆっくりとデスクの上を片付ける仕草をしながらお財布を握り締めて時計を睨む。
12時1分前になって、他の人もちらほら席を立とうとし始めたのを目の端で確認してから立ち上がる。
美織は案の定帰ってくるつもりはなかったようで姿を見せない。多分、もうロビーにでもいるんだろう。
急いでいかないと美織のお気に入りのPienは行列をつくっちゃうこともあるし、私の所為だって怒られたら、只のおごり損だ。