遊びじゃない

「うわっ」

「柏木さん。」

両肩を支えられた状態で、背後からふわりと香るフレグランスはやっぱり麻生さんのものだったようで、頭上から声が落ちてくる。

「何も言わずに帰るなんてひどいな。」

他の人に聞かれないように耳元で囁かれたことで、あの夜を簡単に思い出して振り払う気力もない私は、実は麻生さんに話しかけて欲しかったみたいだと思い知る。


「…すみませんでした。」

何て返したらいいのかわからずにとりあえず謝ってみて、意地でも焦ったりしないように冷静なフリを決めこむ。

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