届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

ここで答えたら、あたしはお兄ちゃんを喜ばせてしまう。

必死に声を押し殺して。

深く波打つ熱に耐え続けようとしていた。

あたしは、一体、何なのだろう?

昼間は監視され、夜はお兄ちゃんの人形になって。

ご飯を食べた記憶も、お風呂に入った記憶も。

お兄ちゃんにキスされた記憶も。

全て夢の中の出来事かのように。

ずっと頭の中の酸欠みたい。

自分が生きているかさえ忘れそうになっていた。

お兄ちゃんが周りに演技をしているように、あたしもお兄ちゃんに演技をしたらいいの?

そうすれば、いつかは思い込める?

お兄ちゃんが好きだって。

今より楽になれる?

もう、逃げるところなんてない。

あたしの支えなんてものは何もない。

もし、逃げ出せなかったとしても、それならお兄ちゃんを好きでいた方が楽なんだろう。

もしかして、幸せって思いこむものなのかな?

苦しい中で、ほんの小さな幸せを見つけて。

ああ…幸せだなって思うことが。

それが幸せの意味なのかも。

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