届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
63 不思議な仲間
向かったのは尚吾のビル。
階段をゆっくりと上って行く。
「ただいまぁ~!!」
元気良くフロアのドアを開けた。
そこには、ビックリした顔していつものメンバーが揃っていた。
「唯…無事に帰って来られたんだな。」
少し潤んだ目をして、尚吾が抱きついてきた。
「心配かけてご…。」
言いかけた時
バッチィ~ン!!!!!
もの凄い破裂音が部屋中に響いた。
みんなの目が点になって一斉にあたしに注目。
「いってぇ~なぁ。」
手形に真っ赤にはれあがったホッペを抑えて、尚吾がよろめいた。
「人のケツを触るな!!!!!」
肩で息をするかのように、力一杯怒鳴ってやった。
さっきからソファで笑を堪えている秀。
「まったく、いっつも抱きつくフリして、ケツ触るんだから。」
ムッと口をとがらせながら、いつものお気に入りの黄色いソファにドカッと座った。
その斜め向かいには、涙で目を腫らしたミュウがジッとこっちを見ている。
あたしの手には、ジンワリと汗を握っている。
泣きはらしたミュウの視線が痛くて。
「ちょっと彼女なんだから、彼氏の女癖くらい管理しておいてよ。」
顔と口調は平然を装っている。
「いいんです。唯ちゃんが無事だったなら。ミュウにとって、唯ちゃんと尚吾くんが目標カップルですから。」
なんて、甘ったるい声で話すと、また泣き出しちゃった。
あたしと尚吾が目標カップルって…。
ミュウは彼女じゃないの?
「そうじゃないでしょ?」
天然ぶりにガックリと肩を落とした。
「ううん…絶対に、ミュウより唯ちゃんの方がお似合いですから。」
また、泣き出してしまった。
その姿に、ハアッとため息をついた。
「まさか、その日のうちに帰されるとはな。」
目の前に座っている丘芹が、少し驚いたような顔をしながら言った。