届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「尋問って…ったく。」

海翔は溜め息をつくと、仕方ないような顔をして自分の話を始めた。

あたしに会ったあの取調室の日。

捜査1課の花形から生活安全課の少年犯罪係への異動。

新任の交番勤務時代からお人好しが災いして、お祖母さんの道案内だけで一日費やしちゃったり。

なんとか捜査1課に配属されたけど、殺人犯の身の上話の情にほだされ釈放してしまうなど、挙げたらキリのない失敗ぶり。

異動でで済むならいい方だったこと。

彼女とは去年仕事が忙しく、すれ違いが多くなって別れたこと。

一通り話し終えると、フウっと一息ついた。

「今度は、綾瀬が話せよ。」

「彼氏いない。学校辞めた。終わり。」

「…。」

言葉を失った海翔。

何食わぬ顔をしている座っているあたし。

「なんだよそれ!!そんなんじゃ話になら……」

声を荒げそうになった瞬間。

目の前に運ばれてきたチーズハンバーグ。

海翔の言葉なんか聞こえないフリして

「いっただっきま~す!!」

目の前のチーズハンバーグをパクついた。

「まったく…」

ブツブツと憤(いきどお)りを抑えられず、独り言をつぶやく海翔。

これ以上、詮索なんかされたくないし。

そのまま美味しいチーズハンバーグと、スペシャルイチゴパフェ食べて帰ってきた。

その帰り道、あたしはコンビニ前で急に足を止めた。

「どうした?」

海翔は振り返って足を止めた。

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