届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「うるさい。」

上目使いでにらんでいるけど、恥ずかしそうに照れている。

「今日のお礼だ。いい子にして待っていろよ。」

軽く手を振りながら署に戻って行った。

なんとなく振り向くと綾瀬唯は、ニッコリ笑って小さくガッツポーズしていた。

見られたのも気づかず、クルッと方向転換をして帰っていった。

その姿にクスッと笑ってしまった。

署に戻ると、待っていましたかのように森崎がやってきた。

「今夜、2時間くらい付き合えよ。」

「何だよ。」

「さっき話したショップに行こうぜ。理由は適当に作るからさ。」

「今夜は…。」

綾瀬唯との約束が頭の中をよぎる。

断る口実を必死に考えるけど。

森崎のことだ。

いらない詮索をするのが目に見えている。

ここで、下手な言い訳もできない。

顔を見るだけで帰れば平気か。

「わかった。2時間だけな。」

「おう!!頼むよ。」

森崎のテンションは上がり、オレの背中をバシバシと叩くと自分のデスクに戻っていった

「藤友、本庁から客が来ているぞ。」

課内の誰かが大声で呼んだ。

パッとドアの方を見ると、スーツ姿の眼鏡をかけた若い男が立っている。

その男の顔を見て、盛り上がる気持が一瞬にして冷めた。

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