しろくろ
ガバッッ!!
「…こ、こはお城の、医務室??」
目をあけると飛び込んできたのは、よく見る医務室の真っ白な壁と綺麗に挿されたお花。
──今のは誰??
何も分からない。
あの男の人が誰なのか、あの場所は何処なのか。そして何故女の人は死んだのか。
でも、只ただ涙が止まらなかった。
「楓ちゃん!目が覚めたの!?」
ガチャリと部屋に紅葉が入ってきた。慌て楓は涙を拭う。
「はい。ちょうど今目が覚めたところです。」
何時もどうりの笑顔でニコッと楓が笑うと紅葉は安心した、と息を吐き出した。
「良かった。
楓ちゃん丸一日も寝てたのよ。
昨日煉邪に医者を呼びに行って帰って来たら、煉邪の隣で楓ちゃんが倒れてて。
煉邪は頭抱えて叫んだまんまでパーティーの準備どころじゃなかったし。」
「煉ちゃん!!あの煉ちゃんは、パーティーはどうなったんですか!??」
丸一日寝てたということは、昨日の時点で明日だったパーティーは……
いや、それ以前に煉ちゃんは…
あんなに辛そうな顔をみたのは初めてだった。なのに、私は何も出来ないどころか隣で倒れてるなんて。