あのこになりたい
「明日、とりあえず病院行くの止めなきゃ…」


私が言うと同時にインターホンが鳴った。



玄関を開けると…


「若菜さん!?」


大きな鞄を持って立っていた。



「すみません…こうするしか思いつかなくて」


赤く腫れた両方の頬が痛々しかった。



私はすぐに兄を呼び、兄は若菜さんの顔を見て抱きしめた。


「大丈夫か…?痛いとこないか?」


若菜さんは、


「大丈夫」


と言った。



「どうしたの…これ…」


私は若菜さんの頬に冷たいタオルをあてながら聞いた。


「あの後、父はお酒を飲んでたみたいで…。私の部屋に来て…何度もひっぱたいて。母はちょうどお風呂に入ってて、弟が止めに入ってなんとか収まったんだけど…。ああなったら手をつけられなくなるから…弟に手伝ってもらって家を出て来たの」


近くで見ると、若菜さんの鼻には血の後があり、唇も何ヶ所か切れていた。



痛々しい若菜さんの顔を見ながら、兄の目は真っ赤になって震えていた。



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