あのこになりたい
「咲…」


兄は涙ぐんでまた頭を下げた。



「お願いします!!!」



「親父…許してやれよ。姉ちゃん幸せじゃねぇか。こんな人達に囲まれて。人のために土下座なんてそうそうできないよ。それをこんな朝早くから一緒にしてくれる人がいるなんて、きっとこの人めちゃめちゃいい人なんだよ」


若菜さんの弟らしき人が言った。



沈黙が続く中、頭を下げたまま若菜さんの父の言葉を待っていた。



「みんな…!」


後ろから若菜さんの声がした。



「俊二…咲ちゃんまで…」

若菜さんが父の前で立ち止まった。



「私の選んだ人は…素敵な人でしょ…?私はこれから先も文くん以外の人好きにはならないから!反対したって無駄だよ…私の頑固さも芯の強さもお父さん譲りだからね。ちゃんと幸せになって諦めないでよかったって思えるように…しっかり生きていくから。お願い…認めて下さい!!」



若菜さんが私の横に座って土下座した。



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