あのこになりたい
「まぁ…」


母は私の左手を持ち上げてじっくり見ている。



「お母さん、後で見せるから…」


私が言うと、


「お父さん、お母さん」


後ろからシュンの声がした。



「咲さんと結婚させて下さい!」


シュンは頭を下げた。


私は父と母の顔を見た。



父の表情がゆっくり和らいだ。


「咲をよろしく頼むよ。俊二くん」


父の言葉に、


「はい!!」


シュンはさっきの私の笑顔に負けないぐらいの笑顔で返事をした。



「シュン…ありがとう…」

シュンを見ると、安心したような顔で笑った。



「おめでとう!咲!」


綾が抱きついてきた。



「うん…」


私も綾を抱きしめた。

私よりも顔も目も真っ赤にした綾を見て私の視界も少し歪む。



「やっぱり給料3ヶ月分ですか…?」


幸輔がシュンに聞いている。


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