あのこになりたい
「みんなは天然とか言って許してくれるかもしれないけど…私はあんたのその無神経なとこも鈍いとこも…大嫌い!!」



綾は唇を噛み締めて泣いていた。



言ってやった…


ずっとずっと溜め込んで来た気持ちを口にした私は、すっきりした…?



綾は部屋を出て階段を駆け降りて、家に帰って行った。



私は、言う前よりずっと重い心を抱えて座り込んだ。


後悔と罪悪感はすぐ押し寄せて来た。



酷いこと言っちゃった…


どうしよう…



私の頭の中は綾の泣き顔でいっぱいになった。



私は結局…綾になりたかったんだ。



子どもの頃から綾が羨ましくて、綾に憧れていたんだ。



明るくて元気で素直で…


みんなに好かれていた綾が、私には眩しくて。



眩しすぎてうっとおしかったんだ…



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