烏鎮(うーちん) 上海水郷物語2
姉妹
「なんで?どうして、いまこれを?
これは私達の母が持っていたもの」
静江はうなずきながら涙も拭かず祖父の手帳
を取り出した。中を開いて美麗さんに手渡す。
「私は日本語分からない。なんと書いてあるんだ?」
静江は顔を横に振る。
「うまく説明できません」
そのとき姉が、お前の息子と叫んだ。
美麗さんも大きくうなづいて、
「明日もう一回ここに来てくれ。私の息子は
日本語を勉強している。上海から今晩帰って
くるから、それまでこの手帳と写真を」
「そのまま受け取っておいてください。
私は明日この時間にここに又来ます」
静江はそう言って染物工場を小走りで出た。
石畳の上であらためてハンカチで顔を拭いた。
「これで良かったのかしら?川に捨て
られないでごめんなさい、おじいちゃん」
空を見上げると薄曇りの中に祖父が笑って
うなずいているような気がした。
これは私達の母が持っていたもの」
静江はうなずきながら涙も拭かず祖父の手帳
を取り出した。中を開いて美麗さんに手渡す。
「私は日本語分からない。なんと書いてあるんだ?」
静江は顔を横に振る。
「うまく説明できません」
そのとき姉が、お前の息子と叫んだ。
美麗さんも大きくうなづいて、
「明日もう一回ここに来てくれ。私の息子は
日本語を勉強している。上海から今晩帰って
くるから、それまでこの手帳と写真を」
「そのまま受け取っておいてください。
私は明日この時間にここに又来ます」
静江はそう言って染物工場を小走りで出た。
石畳の上であらためてハンカチで顔を拭いた。
「これで良かったのかしら?川に捨て
られないでごめんなさい、おじいちゃん」
空を見上げると薄曇りの中に祖父が笑って
うなずいているような気がした。