君と恋に堕ちた事について
帰ると、麻実が笑顔で出迎えてくれた。それだけで、一緒にいる事の喜びを感じた。


「山里が離婚届を提出したって伝えてくれ…と言ってたよ。」


「そう。提出したんだ。じゃ、私達心置きなく一緒にいられるね。」


「そうだな。」


「嬉しくないの?」


「いや、嬉しいよ。でも…」


「でも、何?」


「素直に喜べないというか…複雑な気持ちなんだよ。」


「京介さんは優しいんだね。私は、素直に嬉しいよ。」


そう言って微笑んだが、伏し目がちの瞳を見て、麻実の方が複雑な感情を持っているはずだった。
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