君と恋に堕ちた事について
オレたちの気持ちが変わらないうちに、2人で区役所に向かった。

よく晴れた土曜日の朝だった。

「時田麻実って、売れないグラビアアイドルっぽくない?」

麻実は努めて明るい声で言った。

「どこかで、食事して行く?」

「そうだな亅

「あれ?下山さんじゃない?」

松方直美という女子社員が、オレたちの方に向かって来てハッと足を止めた。

「部長…。」

「私達、結婚したの。」

「あぁ、そうなんだ。おめでとう。」

そう言う松方の顔は好奇心と嫌悪の表情が入り乱れていた。

月曜日には、社内に噂が蔓延している事だろう。

仕方ない。オレたちは地獄に堕ちる運命なのだから。
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