君と恋に堕ちた事について
麻実が身動ぎをして、うっすらと目を開けた。


そして、薬指の指輪に気付き言った。


「なぁに。これ?」

「ずっと、オレの物でいてくれ。結婚しよう。」
麻実は、困惑した顔をした。

「私は、結婚してるんだよ! 無理に決まってる。山里とも同じ会社だし、どんな目で見られるか…」

「構わない。もう、離れて生きるなんて、無理なんだ。会社は辞めたって構わない。」


「そう簡単にはいかない。」


「麻実さえいてくれたら、後はどうなったっていいんだ。」


麻実は、黙って聞いていた。

「結婚しよう麻実。オレ達は一緒にいるべきなんだ。君だって分かっているはずだろう?」


麻実の頬に伝う涙を拭いてやった。


「本当に地獄に堕ちるよ。私達…ただ、恋に堕ちただけなのにね。」
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